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左心低形成症候群の娘、きょうだい児の2人、ひとり親、ドタバタの日々。

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フォンタン手術に関する治療まとめ|側副血管に対するカテーテルでのコイル塞栓術・フォンタン手術


三女は、左心低形成症候群(HLHS)という生まれつきの心臓病です。
これまでに4度の手術を乗り越えてきました。

  • 両側肺動脈絞扼術
  • ノーウッド・グレン手術
  • 胸管結紮術(乳び胸手術)
  • フォンタン手術(TCPC)

 

2017年8月17日、機能的修復術である「フォンタン手術(TCPC)」を受けています。
三女の疾患は根治しませんが、これで修復は完了しました。

こちらの記事は、当時の記録をまとめたものです。
2017年8月14日~17日の日程で入院、フォンタン手術に向けての治療や説明などが行われました。

 

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フォンタン手術に向けて

8月14日(月)入院・コイル塞栓術のIC

術前は小児科への入院です。
入院すると、早速点滴のルートを取るところから始まりました。

 

【この日行われたこと】

  • 身長・体重測定
  • 採血
  • 血圧
  • 採尿
  • レントゲン

 

コイル塞栓術は、心臓カテーテル(以降:心カテ)治療で行われます。
IC(インフォームド・コンセント:治療内容の説明・合意)はS先生。
5月に受けた心カテ検査の結果を元に、話は進んでいきました。  

 

側副血管ができる原因

左心低形成症候群はチアノーゼ性心疾患と呼ばれ、きれいな血液(動脈血)と汚れた血液(静脈血)が混ざっています。
グレン循環でのSpO2は85~90ほどでした。

低酸素の状態になっている体は、もっときれいな血液(酸素)が欲しいです。
側副血管(体肺側副血管)はそれを求めて勝手にできてしまった血管で、血管新生と呼ばれます。

S先生によると、腕の方に向かっていく血管から、胸の内側の血管(内胸動脈)と、体の後ろ側に向かう血管にも少しできていて。
それが肺に向かって伸びていました。

内胸動脈については、天皇陛下の心臓手術の際にバイパスとして使われた血管、という話がとても印象的だったので覚えていました。
なくても大丈夫な血管って不思議ですね。

>>>天皇陛下が受けられる冠動脈バイパス手術とは [心臓・血管・血液の病気] All About  

 

側副血管がいらない理由

側副血管は、動脈から肺への迂回路・ショートカット。
体に巡っていくはずの血液が、側副血管を使って肺へと戻ってしまうことで、肺への血流が増えます。

それによって自ずと心臓の負担が増えてしまうんです。
流れる必要のないものです。

フォンタン手術直前に行うのが有効とのことで、2日前に行われることになりました。  

 

コイル塞栓術をするのは大きな箇所

心カテは造影剤を注入して、X線撮影をしながら行っていくものです。
当然被ばくが気になりますよね。

検査と治療では、放射線量もかなり違うようです。

>>>放射線の被ばくについて 大阪大学医学部附属病院放射線部  

 

確かに、側副血管は心臓に負担をかけるものです。
ですがそれを詰めるための費用・手間・放射線量などを考えた時に、どちらがリスクとなるのか。
それを天秤にかけると、小さなものは詰めない方がいいのだそうです。

 

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8月15日(火)コイル塞栓術

【この日行われたこと】

  • 心臓カテーテル治療・体肺側副血管に対するコイル塞栓術

 

当日の流れ
  • 前日21時:絶食
  • 6時:絶飲
  • 9時:浣腸、エスクレ(お尻から入れる鎮静薬)
  • 9時半:血管造影室入室
  • 12時:終了 、病室にて絶対安静
  • 16時半:本来は6時間のところ、鎮静が効かず4時間半で安静解除



前回以上に鎮静が効かず、安静時間が短かったこともあり鼠蹊部の傷から血があふれました。
6時間の安静はとても大切です。

 

 

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8月16日(水)術前検査・IC

翌日の手術に向けてICはいつも通りです。
前日に聞けなかったコイル塞栓術の結果、循環器外科から緊急オーダーで入った造影CT検査が想定外。
これらすべてが午前中に集約されてしまい、元夫と手分けしてこなしていくことになりました。

レントゲンは私、コイル塞栓術の結果を2人で。
麻酔科のICは元夫に託し、その間に私は三女を膝に乗せて点滴のルートを取り、造影CT検査の送り出しと循環器外科のICは2人で。

造影CT検査は、検査時間はそれほどかかりませんが、造影剤を使う検査になるのでICがあります。
麻酔科のICはいつも通りです。

 

【この日行われたこと】

  • レントゲン
  • コイル塞栓術の結果
  • 造影CT検査のためのIC
  • フォンタン手術のための麻酔科のIC
  • 点滴のルートを取ってから造影CT検査
  • フォンタン手術のための循環器外科のIC

 

フォンタン手術とは

フォンタン手術の目的は、チアノーゼの改善です。

心室を体循環に使用するため、本来右心室で行われる肺循環は「心臓を通さずに直接肺へと送る」ことになります。
肺動脈に上大静脈を繋げ、上半身のチアノーゼを解消するのが両方向性グレン手術。
下大静脈を繋げ、下半身のチアノーゼを解消するのがフォンタン手術です。

 

フォンタン手術を受けた時期が、4歳以上の人と4歳未満の人とでは、長期的な経過に差が出ることがわかっているそうです。
三女もそうでしたが、見た目はとても元気でも体は低酸素の状態です。
それによって脳や他の臓器への悪影響が出てくるというのは、想像するに難しくない思います。

その期間が長くなればなるほどです。

>>>大人になりゆく君たちへ 〜先天性心疾患児の神経発達予後〜 

 

これでは 心機能の前に、臓器が原因で破綻してしまいます。
以前は「今は元気だから」と先送りにされてきたフォンタン手術が、現在は2歳前後で行われる理由はそれが一番です。  

 

手術のリスクについて

三女の場合、もっとも気になるのは胸水貯留と乳び胸です。 
両方向性グレン手術では、肺動脈に上大静脈を繋いでいます。

フォンタン手術では、肺動脈に人工血管を使って下大静脈を繋ぎます。
これによって肺が受け入れる血液量は倍になりますが、それを最初から全部受け止められるわけではありません。
受け止めきれなかった血液が肺の外(胸腔)にしみ出して溜まっていくのが、今回の胸水貯留の原理です。

前回のノーウッド・グレン手術の際に乳び胸にもなりました。
内科的治療では回復せず。 最終的には胸管結紮術を受けていますが、先生方も私たちも今回はどうしても避けたいんです。

乳び胸は1度やっていると、再びやる可能性(リスク)は高くなるそうです。
年齢的にも母親と離れることは特にストレスになりますし、状態が安定すれば1日も早く病棟へ移動となる予定です。

ですが胸水と乳び胸に関しては、注意深く経過観察することになると言われました。
「前回は死ぬ目に遭いましたからね!」とはA先生の弁。  

 

フォンタン術後症候群について

フォンタン手術後に出てくるさまざまな合併症は、心臓に限られたものではありません。

先日の心臓カテーテル検査の際には、これらの大きな原因のひとつに中心静脈圧の上昇があるとも聞きました。
前述した通り、84%の術後合併症非発生率ならば嬉しいです。
小児慢性特定疾病情報センターのサイトによると、術後10年で約50%が本発症となるとも書かれていますから、情報に一貫性がないのも不安のひとつです。

今でこそ記述は見当たりませんが、2年前に調べた時には「循環が破綻する」「50年生存率は絶望的である」といったような表現も目にしました。
どの程度予測が立つものなのか、どのくらいの発症率なのか。

ずっと気になっていたことだったので、この機会にA先生に聞いてみました。

フォンタン循環全体の10%以下です。
ただし左心低形成症候群の人達は、発症のリスクが高くなります。
だからって必ず出るわけでもありません。

 

インターネットで調べた数字よりも、さらに低いです。

症状については、あくまでも「予測の範囲でしかない」のだそうです。
病態把握が不十分であるということは、治療法が確立されていないということ。
遠隔期の管理については、まだまだこれからなのだと感じました。  

 

フォンタン循環での長生きとは

一度しっかり聞いておこうと思っていたことです。

左心低形成症候群でのフォンタン循環の人たち、だけではなく。
フォンタン循環の全体で、長生きと言われる年齢はどのくらいなのだろうとずっと思っていたんです。

60歳です。
今、フォンタンで長くなってきている人達は、4歳以降に手術を受けていますから。
今2歳前後でフォンタンをやった子達は、もっと先をめざせるようになります。

 

本当に驚きました。
あまりにも驚いてしまって、60歳だったのか70歳だったのか私自身はうろ覚えで。
元夫に確認すると、60歳と言ったと思うとのことでした。

フォンタン手術が報告されたのは1971年。
46年前のことですから、最長でもまだ50年生きた人はいないんですよね。
それを知っていたので、想像をはるかに超えた数字だったんです。

フォンタン循環といっても、その中にはいろいろな疾患があって。
様々な症状の人達がそれぞれに頑張っています。

もちろん、みんながめざせるわけではありません。
それでも、この数字には希望があると思えました。

知りたいけれど、知らない方がいいんじゃないだろうか。
今回も一瞬ためらったくらい、命の長さに関する問いは正直怖いです。

私が「勇気が出なくて聞けなかったんです」と言うと、A先生は言ってくれました。

今が元気だから、余計に気になりますよね。

 

説明も最初はおさらいから始まり、ひとつひとつ本当に丁寧でした。
私たちの理解力も上がっているのかもしれませんが、とてもわかりやすく、キチンと納得した上で手術に向かうことができました。

 

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8月17日(木)フォンタン手術

【この日行われたこと】

  • フォンタン手術(TCPC)

 

当日の流れ
  • 前日21時:絶食
  • 6時:絶飲
  • 7時半:浣腸
  • 8時15分:手術室入室
  • 14時前:終了 、ICUにて面会

 

手術時間自体は3時間ほど。 麻酔に時間はかかったようですが、順調に終えることができました。
術後ICUには5日間の入室となり、手術から丸1ヶ月で退院しました。

 

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